赤い惑星/Giton
 
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今度こそは醒めると思ったが醒めなかった
酔っているとは思わないがきみと居た時間
の記憶が残っているあいだは昔のように生きて
いられることが分かった空気がなくなる前のように――
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着地するとの連絡を受けてその地点に向かったが
…赤い岩石ばかりになってしまったクレイタの底…
きみの姿を探し回るぼくは異形の甲殻類
最初に目に入ったのはきみの鋭い銀灰色の爪だ
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姿を変えて出会ったぼくら 二千万年の時間が
一挙に縮まりもとの柔らかい身体(からだ)を触れ合ったとき
惑星の深部に湛えられた水のようにきみは
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静かだったしぼくは何も気づかぬ少年のようだった
きみの鋭い爪がぼくを捕らえるなんて…
時間は逆しまに流れ…ありえない緑の星にぼくらはいた
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