ガスマスク水/魚屋スイソ
いい気がしてきた。死ぬのが楽しみになってきたと言ってもいい。初潮が来てしまって、処女膜を失ってしまって、そしたらもう死ぬくらいしかできない。14歳にして真実を悟るなんてわたし偉い。
屋上に向かうと、すでに生徒の列ができていた。少し先に委員長の姿もあった。男子と女子が手を繋いで次々に飛び降りていく。きっと校庭は砕け散った死体だらけになってる。わたしもガスマスク男と手を繋いだ。もうすぐわたしたちの番だった。生乾きのスク水が肌に張り付いてスースーした。フェンスを跨いで下を向いたら、先輩の眼鏡が先に落ちていった。
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