魔法少女についての断章 1/真島正人
ルの、無機質な待合室の、橙色のベンチに腰をかけて、体を小さくする。
肉体はこれ以上小さくはならないが、心なら、いくらか凝縮できるような気がする。
外で誰かがヴィオラかチェロのパート練習をしているような音が聞こえたような気がするのだが、それがただの錯覚であると思う。夜更けにいったい誰がそんなことをするだろう。
30分ほどそうしていて、まだ夜が明けない。
俺は、もう帰ることを考える。
夜が明けて、始発のバスが動き出すと、元の街に戻る。
それ以上に何も、することはない。
※ ※
そのころ、『僕』の日記の中では、新しい章が構築される。
こちらではない場所でしかそれは行われない。
新しい章では、ようやく魔法少女が、その影を見せる。
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