学生?/山岸美香
体の感覚が損なわれていく。
チョークが落ちる瞬間の、
落ちて砕けたそこで 白い粉が
床の上で印になる。
教室の誰かが蹴りつけた
床や壁と同じになった私が
かすかに揺れつつも
プリントの空欄を埋めていく。
こうやって、
私を育んでいる。
努力が見えたプリントの束や
震えた言葉とも、いずれさよなら。
寒さに体が奪われていっても
また熱が結ばれていく
そんな体の反応に
理由や意味なんて求めただろうか
布団に入って眠る前から
明日の準備をしなくても
抗うことも笑うこともしていた。
この場所から また違うものに向かう為に
足を踏み込ませる
足を踏み込ませた
戻る 編 削 Point(3)