喪失感は地面を掘っていって/乱太郎
返った三葉虫が
薄っぺらな時計盤の上を這いまわっている)
*
真夏の気だるい熱射は
僕の海を乾涸びさせてしまった
鱗のように割れた地面に
息が絶えそうな魚たちが転がっている
*
ごぼうの根を掘り出すように、掘って。掘っ
ていって。土の匂いに、汗が焦げ出して。埋
まりそうな位の穴が出来て。縄文時代の土器
を当てたような興奮で、手にしたものが、自
分の虚しさだったら。
僕は不思議の国のアリスに会えた気分になっ
て、そこで眠ってしまうかもしれない。
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