冬と息/木立 悟
窓に映る窓に映る窓に映る窓の奥の
水も枝も光もひとつに
人の外からこちらを見ている
無いものを踏むたびにたちのぼる
生きものの夜
かがやきのない星に満ちた
小さな夜
目をふさいでも
痛みはつづく
ひとまわり大きく
目のかたちは唱う
雨の音に
砕かれる枝があり
色をくちずさみ
地をくちずさむ
誰かが誰かに課した無へ
肉も肉ではないものも触れようとする
その軌跡が
ひとつの飾らぬ器を描く
恐れは
空洞から吹く
受けつづけ 倒れ
立ち上がり
歩む
空白の隣に夜があり
寄せるものを浴びてい
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