散華/yuko
 
夜を解体するあなたの腕が、こまやかに分たれて腐食していく、長い髪が放射状に散らばった水面に、月がぬらぬらと白く光っている、その胸に穴があいて、ぽこりぽこりと音がする、潮が満ち、その陰でひそやかに花がこぼれだす、ひとつふたつみっつよっつ、とお、

わたしはそこに横たわったまま
浅く目を閉じてそらをみている

死んだ生物が群れて、あなたの下腹部を泳ぎまわり、どうしようもないのに腐臭がする、海は荒くなにかを隠すようで、泳ぐ指さきが熱をもち、震える、壊れはじめた夜の破片が、音もなく沈み、消え、そしてまた花がこぼれる、ふたつみっつよっついつつ、とお、

ほしが墜ちるその
おとをわた
[次のページ]
戻る   Point(4)