秋(2010年)/M&M
 
は見ていた
彼らは何処かに帰っている、そう思えた
もしかしたら「何処へ行くんですか」と
尋ねたい衝動に駆られていたかもしれない
駅から漏れる灯りを斜めに見ながら
足早に通り過ぎてゆく人波に紛れ
私は茫然と突っ立ていた
風が吹き頬をなでた 

左折して片道3車線の大通りに入る
この道ではみんな直線的だ
先を急いで走ってゆく

駐車場に入りエンジンを切る
ペットボトルを口に入れお茶を飲む
ドアを開け降りる
日が射して
アスファルトは明るく照らされ
ブロック塀の下
黄色い花が
風に吹かれて揺れている
入口に向かって歩きだす

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