ハイド・パークから少し離れて/天野茂典
 
 


   ハイド・パークから
   少し離れてそのパブ
   はあった
   にぎやかっだった
   椅子はなかった
   みんな立って飲んでいた
   仕事帰りの労働者ばかりだった
   安酒場だ
   英語はぜんぜん判らなかった
   機嫌よく飲んでいた
   ビールのジョッキを煽りながら
   男たちばかりの溜まり場
   鴉のように饒舌だった
   日本からきたぼくたちをなんとも
   思っていないらしかった
   一日の疲れが喉を通して
   胃袋に溜まってくる
   白人が赤い顔して
   脂が顔ににじみでている
   陽気な店内だ
 
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