メモリアル/ホロウ・シカエルボク
 
選んだり
溢れすぎて迷い続ける
本当の自由は
目の前に並んだ皿の数ではなく
その中のどれが
自分の食せるものなのかを知っているということ
限定メニューや
お任せメニューではなく
確かにそれを並べられるかということ


冷たくなる夜の風は
どこか目を覚まさせようとしてるみたいで好きだ
臨終の床で
何度も名前を呼んでくれる人に似ている気がして好きだ
「いかないで」でも
「死なないで」でもなく
ただただ名前を呼び続けてくれる人みたいで好きだ


近くに逝ってしまった誰かを
深く愛しているかということとはまた別の話で


冷たく冷えた窓の外に
潰して丸めた昨日の死体を転がして
腐敗してゆくさまをずっと見てた、祝日
北風に揺れるさまはなんだか楽しげで
ころころとしたいびつな球体にどこかしら妬けてくる、文化の日




いつか朽ち果てるときには
誰かが呼んでくれるかもしれない


自分の名前だけは
心に刻んでおこう





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