花の教え/吉岡ペペロ
 
おお、そうか、薔薇か、薔薇を育ててみたいのか、

彼らはそう言ってとても喜んだ

それなら、この本を読みなさい、とくにここは口に出して何度も読みなさい、

彼らはそう言って励ましてくれた

その本は、花の教え、そういう名の薔薇の育て方の本だった

薔薇を育てるには、まず生活にリズムをつくりなさい、

彼らは薔薇の花を咲かせることに親身だった

しかしぼくのこころは遠くなるばかりだった

ぼくは薔薇の花には興味がなかったのだ

それはだんだんと分かってきたことだった

花の咲いたあと、種が出来て、地に蒔かれて、また芽をだして、

花の咲いたあと、そういうことに興味があったのだ




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