午視/木立 悟
 






行方満ちる目
未明ひとつ触れ
踊りかなしく


ひと呑みひと呑みが
耳につもり
うなじを下り


冬の馬が削る
原 崖 丘
かけらを ふりほどいて


枝の影が筆を落とす
拾う間もなく描いている
立ち尽くし にじんでいる


朝も午後もただ馳せるのだ
昼しか射抜けぬ昼を擁いて
こみ上げる手のひらをさらすのだ


慈悲の失い光の劇が
曇うつす屋根にひらかれて
たくさんの拍手 まばらな視線


左の頭のうしろを歩む
夕闇ひとつ つまんでは置き
誰も居ぬ階段は華やいで


穴のそばには穴うめるもの
かがやくものをふたつ残して
どこへゆくどこへゆく花びらの曇


知らない数字を風に置いた
だが手紙にはなりそうにない
この響きには影が要るから


雨の数だけ雨が在り
見つめるものを見つめ返す
むずがゆく まばたきを促しながら





















戻る   Point(7)