午視/木立 悟
行方満ちる目
未明ひとつ触れ
踊りかなしく
ひと呑みひと呑みが
耳につもり
うなじを下り
冬の馬が削る
原 崖 丘
かけらを ふりほどいて
枝の影が筆を落とす
拾う間もなく描いている
立ち尽くし にじんでいる
朝も午後もただ馳せるのだ
昼しか射抜けぬ昼を擁いて
こみ上げる手のひらをさらすのだ
慈悲の失い光の劇が
曇うつす屋根にひらかれて
たくさんの拍手 まばらな視線
左の頭のうしろを歩む
夕闇ひとつ つまんでは置き
誰も居ぬ階段は華やいで
穴のそばには穴うめるもの
かがやくものをふたつ残して
どこへゆくどこへゆく花びらの曇
知らない数字を風に置いた
だが手紙にはなりそうにない
この響きには影が要るから
雨の数だけ雨が在り
見つめるものを見つめ返す
むずがゆく まばたきを促しながら
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