眼のない魚/いてゆう
 
り道
野生の空が 白い入道雲に隠れる
ガム噛むガムの水面
圧迫された口の中を 進む
なぜ水はどこまでも透明なのか
ひょっとして
地球を一周した自分の姿が見えるかもしれない
どこまでも純粋な
波打つガラス
疲れ果てたとき
転覆したボートの背中で ふたりの父が手を振る
やっと発見される
ナメクジの背中に移動できた
海草の版画のねばねば
船で羊水を運ぶような
瓶の中の読書
報われない努力
眼のない魚
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