犬の散歩/朧月
 
目の見えない犬と散歩にいく

ときおり
ふんふんふんと鼻を鳴らして確認する

それでいい
それでいい
と言う

ときおり
ぐずぐずと泣いて居場所を探す私

あっちをむいて
こっちをむいて
犬は犬でいる

鎖を持つとやっこらと立った
散歩だったのか
あの道

犬は元気な犬で
犬なんかと思っていた私の頃から
ある柿の木の根元に

小屋はある
くくり棒さみしく
いない犬を連れて出る散歩

それでいい
それでいい
言っておくれ私の犬よ


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