白い黒ヤギ/たもつ
きみの肩こりが酷い満月の夜
ぼくは錆びた味のみかんを食べてる
朝からコタツがあり得ない
それでも決して負けはしない
ぼくは白い黒ヤギ
自由を求めて飛び跳ねる
自由の意味もわからないまま
海も、砂漠も
ビルも、メガネも
全部跳び越えてみせる
わたしをこのまま奪って逃げて、なんて
演歌ですか、きみは
そう言うぼくは
空も飛べない白い黒ヤギ
だからいっぱい階段をつくって
あの満月まで
きみを奪って逃げていく
だからしっかりしがみついて
振り落とされたら音が寂しい
そしてあの煌々とした光の中
肩を揉んだり
息を吸ったり
息を吐いたり
見たものすべてに
名前を付けたり
泳いだり
泳がなかったり
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