十一月/salco
、死んだ亭主の愛人が今度の旦那に手を握らせる
赤い赤い口紅塗って、ざくろの色の嘘をつく
庭のあすこのサルスベリの根方に蟻が行列を作つてゐるのは
糖尿の間男が帰りしな立ち小便したからでさあ、ひ、ひひひ
雨ノ翌朝、コンコン神社ノ鳥居ノ下ニ、廿日鼠ノ死骸ガ落チテヰマシタ。
猫デハナクテ、太郎サンノ仕業ナノデス。ダツテアノ児ハ
十一月、きやうなゆびもしだいにかぢかむことをしるのだらう
あのひとのむねはまるでコヲルタアルのやうだつたけれど
あたしやね、だかれてゐるときさへしはわせぢやなかつたよ
だつて、ぢごくにだかれてゐたのだから
一一月、一年で一等、子どもが神隠しに遭う月だよ注意をし
枯野を駆け巡るのは夢ばかりじゃないからね
穴が地面に開いているなら空にだって開いているだろう?
ポチや、ポチや、
お前の黄色い毛皮がさみしく庭に咲いていた、十一月
ぢゅ、ぢゅ、ジュウイチガツ
ほら、口が汁けで一杯だ
戻る 編 削 Point(3)