ケーハクなひと/恋月 ぴの
「じれったい!」と叫んでいた男の背中にすがりつこうとして
彼が必要としてたのは私じゃないことに気付く
う〜ん、淋しいかも
開けてはいけない扉を自らの意思で開けてしまったのだし
それが愛ってことだと思っていた
夢を夢と信じる
それさえも叶わないのなら
これ以上生きてても仕方ないだなんて思いつめてた
単に短絡的だっただけのような
「今度こそ!」を繰り返しては
私の懐からお金むしり取っていった男の愛した女も私じゃなかった
なんだかねえ
無性に誰かと話したかったけど
それって、ひとりプリクラの狭い仕切りのなかで
あれこれとポーズ決めてみるのとおんなじ
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