雨雲の向こう側/たまご
どんより湿った空気に覆われている
ずいぶん長い間抱えていたんだね
中途半端に吊り下げられた悩み事を
私は離れたところで
見ているだけの立場だ
手に触れることはできない
求めれば求めるほど
焦れば焦るほど
解決策は遠のきそうだ
迷路に閉じ込められた糸口は
時の流れだけが取り出すことができるのだ
時期というものがあるんだね
雨雲よ
私にできることといえば
ただ時が過ぎるのを待つだけだ
『時を過ごすこと』(=生きることだ)
それ以外になにがあろうか
気持ちは薄暗い濃霧を彷徨っている
いつになっても先が見えないのだ
手探りでときを過ごすだけだ
けれども
やがて・・
目前の光に気づいたならば
意識は切り立つ山頂を登りきり
突如開ける視界の広さを発見するのだ
さわやかな残像になり
きれいな空気が心の襞を撫でる時
雨雲よ
私はその時を
向こう側にあるものを
はればれと自然に笑みが零れてくるように
君たちと一緒に見てみたいのだ
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