ドミトリーの裏がわで/番田 
 
通らなかったけれどその日開いているというスペシャルルームに男は泊まれるはずだったのである。



遠くから出てきた女の子がストロベリージャムを巨大な器にぶちまけたので先を争いながら男も取った。そして男はメトロに乗ると色々な場所を巡り歩いた。何か髪の長い女の子が怒りだしていて、人に対してこのスペースは全員を収容するにはあまりに狭すぎたようで尻を使って隣に立ってパンを食っていた。そして小柄でひょろひょろした男をどかしていた。それは今思い出してみても本当にもの凄いやり方でパリとはいえ、ブラックやらホワイトやら色々な人種がいると思った。怪しい異邦人である「男」のような男や、そしてなんとなくひねく
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