あの10ユーロ/番田 
 
る。だが私は怪しい人間であるのだと気づくべきだったのかもしれない。彼女は女の子だったのだけれど、最後は暗がりに連れ込まれたりして、なんとか近所の安ホテルを探し当てた。朝に手にした牛乳入りコーヒーはほんとにうまい。


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親切な人は青年であったりした。長身のビジネスマンであったりした。駅員であったりもした。だから彼女もそんな優しい人々のひとりなのかなと思ったのが運の尽きだった。全くといっていいほど頼りにならない警察で暴言をかまし、色々なホテルを渡り歩いてくれたのはよかったが、最後は手数料の10ユーロを財布からシュパッと抜き取られた。


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