あの10ユーロ/番田
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公営であるタクシー乗り場でボッタクリのタクシーと交渉し、着いたばかりの体はくたくたに疲れ果てていた。何か迷い子のような気のする私には確かな風景などそこには無いように思えた。彼らはフランス語はできないと知ると、バスを降りて小便のような異臭のする高架下を歩き回り、見るからに怪しい連中だった。英語の出来る女性が私に近づいてきて交渉した。
彼はだが本当に気さくだった。褐色の髪の毛が天然パーマだった少年。すると青い制服を着たフロントのおばさんに人種差別のような扱いを受けた。私は駅の切符売り場に並んでいた。目の前で急に体調を崩したと言い出し始めた。私は何としてでもここで切符を絶対に手に入れなければ
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