栗の木/いてゆう
 
が 道路の向こうで
そう解説していた
脚に自信がないのかな
自信をもてばいいのにね

ナンバーの分からない車が
今日もプールにやってきたね
いつも 涎を垂らして だらしがないんだ
人を見ると 頭を擦り付けて泳いでくる
髪を真中で分けた彼女の
頭の上の細い道がすきなんだ(会田さん)
ライト照らして
消えていった

黒板にナンバーを記しながら
先生が焼いた栗を食べながら おっしゃった
(ちゃんと 相手の眼を見て話をするんだぞー)
って
地面に死体 描きながら
僕は聞いていた
新聞を広げ
まことに
しわくちゃな紙は 燃えやすい
燃えやすい落ち葉で 焼いたのかな

夕方になれば どのコップで水を飲んでも
魚が泳いでくる
やっぱり 秋なのかな
大根を下ろしながら
ぐるぐる回る僕は
栗のイガイガが忘れられない
そして明け方には
彼女のように胸が豊かになる夢を
いつも いつも
見るように 願うしか
しかたがないのさ
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