岬まで/天野茂典
 

  韓国からも
  中国からも
  東南アジアの漂流物が
  国際色を増している
  海の中には入れない
  波打ち際をゆくだけだ
  風船もない
  アドバルーンもない
  海洋植物もない
  ホンダワラとブイだけがある
  スロットルをいっぱいにあげてぼくは
  風になるのだ
  砂になるのだ
  転倒はしない
  奔ってゆく
  一台の三輪バギーが
  砂を噛みながら
  朝日のなかをちいさくなってゆく
  ハードなかたむきは
  地軸のずれににている
  ぶれたままで
  いびつの光源をとらえて
  バギーは
  岬に
  詩
  の一篇
  を
  鉄筆で
  引っ掻きに
  ゆくのだ

  月面の反射板のように
  証拠を残すため

  海は騒ぐ
  バギーは走る!


    
             2004・10・23

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