でもそんなの朝の間だけのことさ/真島正人
 
訳の分からないことをつぶやいていたらしい
トーストをかじりながらお茶を飲み
自分のことをゆっくり考える
朝のあいだ僕はずっと自分のことを語り
自分のことを語るから自分がわからなくなる
日本人は優雅に暮らしてきたものさ
優雅に暮らしてきたから優雅がわからなくなってる
日本人は朴訥に話すのが好きさ
朴訥に話すから女がわからなくなる
僕は僕のことを語るのさ
それで僕のことがわからなくなる
でもそんなの朝の間だけのことさ

僕たち人間は
どこへでもゆくことができる
そして行った先を都会にする
僕の寝床の雨漏りはすぐに修復される
修復されてまた
雨漏りをはじめる

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