でもそんなの朝の間だけのことさ/真島正人
朝早く
女が僕の布団に潜り込んできて
いろんなことを言ったけど
消えちゃった
僕は彼女がなにを言っているのか
全くわからなかったけど
大切なことは要約ができないと
言っていたような気がする
朝早くカーテンを開けると
田舎の町は都会になっていた
工事現場から逃げてきたクレーンがベンヤミンを読みながら
自分を増やしていた
自分を増やしていた
そんなことをしてどうするんだろうね
僕たち人間は
どこへでもゆくことができる
そして行った先を都会にする
僕の寝床の雨漏りはすぐに修復される
修復されてまた
雨漏りをはじめる
朝早く布団の中の僕は
なんだか訳の
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