レム/薬堂氷太
瞼を閉じれば
世界は僕の輪郭が境界線となる
その暗闇の中はなんでも僕の思うまま
せっかくだから普段出来ないことをしよう
すれ違う人の顔に×印を書いて回ったり
ビルの屋上から段ボール箱一杯の愚痴をばら撒いたり
爆音の悲鳴で街路樹を葉を全部散らしたり
あまりにひどく狭い世界で
断片的な記憶が彩る世界で
なんだか虚しくなってきたから
僕は泣いてしまった
だから 瞼を開けたんだ
すると 世界は色と常識を取り戻す
そんな世界で何時も僕は
間接が軋むような
デタラメな歩き方をしているから
きっと疲れてるんだろう
僕はまた瞼を閉じる
瞼を閉じれば
世界は僕の輪郭が境界線となる
いつか神様に限界が来たら
床に伏せる間際に説教をしてやろう
「お前の常識とかいう 足枷が重くて 僕は眠ってばかりなんだ」
って
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