堤防と時代と/番田
1
川には白く白く波が立ち
いくつもの太陽からの光が反射している
南と瀬名が歩いている光景が堤防の上に浮かんでいた
今では大きなマンションが並んだロケ地を
飛んで行った 青いスーパーボールが
2
飛び上がったのはどの辺りだろうかと
歩いて行った 道沿いには
マンションが乱立する
その中に瀬名の住むマンションを探したけれど
今は痕跡すら無いようだ
3
今は20年ぐらい前のドラマだから知る人などいないのだろう
今日も道を急ぐ人たちは時間に終われてただ前を通り過ぎて行く
まだキムタクはその頃は駆け出しの若造だった
山口智子はイメージが植えついてしまったのか
ドラマにはその後は出ていない
4
何となく夢でもこの狭い堤防に立てば見れるかもしれない
僕はまだあの頃は高校生ぐらいだった
平和なムードがこの国の行く末に漂っていたけれど
僕は地下鉄に乗り誰と抱き合うこともなく職安に向かう
誰も彼もが安心しすぎていたのかもしれなかったと通り過ぎて行く
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