オレンジ色のスキー靴/山人
吹き去った
僕は自分に怒り
矛先はオレンジ色のスキー靴に向かっていた
あの時の
君は
もういない
パンフの君を指で触る
君は笑顔で撫でられている
でも何度撫でても同じ顔だ
君のカセットテープの中の声を聞く
君の声をいっぱい録ろうとしたのだけれど
テレビのアニメの声が大きくて
でも君の声が
必死にアピールする声が
指先と顔が僕を行ったり来たりして
君の瞳にはきらきらと確かにアニメが写り輝いていた
僕はただ
自分を差し出し
塊となって
汗や血を流しながら
君の温度を感じなければならなかった
君は今
頬に風を受け 歩いている
君のどこかに
いくつかのおもいが
疼いているのだろうか
僕はそれを心に塗りこんで
日々を紡いでゆく
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