建築物と/番田
あなたの発するだろう声に、そこに色々な、声にすることすらできないようなものが、けれど具体化されずに、取り巻いているような気がした。とりとめも無くぼんやりとしたものが取り巻いている。私にはそれはぼんやりとした眠気として襲った。伝えられたらと願う光はあるのだろう、誰かに何らかの思いを曲がること無く太陽光は、人間を照らし続けるどこかに私は見たような気がした。年を取って行くのかもしれない、その色々な光を。刻一刻と私は止めることなどできないまま、今日も電車にそこを流れる景色に乗るのだろう、見るのだろう。腹立ちまぎれの川も流れて行く。思いを抱えたまま、何も誰にも言えないまま、私の思いは語ることすらできないままに、流れて行くのだろう、そこに流れて行くのかもしれない。
私を人間のような体をして、子供が歩いていた。手をつないでどこに行くのかと思った。荒川修作の建築物がどこまでかはわからないけれど、空間を漂うようでいて、場所をなくしてそこに私も行きたいと願った。庭の上を探しさまようように、子供はけれど手をつないで歩いていた。
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