あなたが求めたモノクロームの断絶/真島正人
きく
大きく広がっていたので
その音で鼓膜がしびれた
鼓膜がしびれると
体中の器官が
痛んでくるように思われた
そのとき
私はもう私じゃなかった
私は自分の成れの果てが
あなたとは違い
(暗室の中で、小さく、小さくなっていった、あなた)
どんどんどんどんと
広がっていって
消えていくのだと
悟っていた
私は不平等だった
私は紙切れのように軽かった
私は
本当に私ではなくなるときにやっと
私を見つけ
私の傷痕に
セロテープを
貼り付け
私のおせっかいな耳たぶと喉だけを
上手にスイス製アーミーナイフで切り抜き
残った体から
血を吸い出して捨てた
※
そしてそのあとで
ありふれたことなのだと
感じた
※
でも、
なにが?}
戻る 編 削 Point(4)