あなたが求めたモノクロームの断絶/真島正人
 
きく

大きく広がっていたので

その音で鼓膜がしびれた

鼓膜がしびれると

体中の器官が

痛んでくるように思われた

そのとき

私はもう私じゃなかった

私は自分の成れの果てが

あなたとは違い

(暗室の中で、小さく、小さくなっていった、あなた)

どんどんどんどんと

広がっていって

消えていくのだと

悟っていた

私は不平等だった

私は紙切れのように軽かった

私は

本当に私ではなくなるときにやっと

私を見つけ

私の傷痕に

セロテープを

貼り付け

私のおせっかいな耳たぶと喉だけを

上手にスイス製アーミーナイフで切り抜き

残った体から

血を吸い出して捨てた



そしてそのあとで

ありふれたことなのだと

感じた



でも、

なにが?}

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