薄幸と的/AB(なかほど)
 
  

二番煎じのお茶が
案外おいしかった とか
立会川からの車窓に
富士山が見えた とか

そういうことで
日々が過ぎてゆけば
あのひとも
泣かずにすんだのかな

ときどき
途中下車して
ひとりで飲み屋に入る
今日の幸せが
奴さんだったりトマトさんだったり
糠漬け様だったり

探しているものなんであれ
あのひとも少しずつ
少しずつ





即興ゴルコンダより


戻る   Point(3)