薄幸と的/木屋 亞万
 
ってくれ
そうでないなら
悲観的にならないで済むようにしてくれ

こころは薄くなった幸せの中で
とっくに押しつぶれてしまっている
さよなら、さよなら

秋に泣きたくなるのは
春の花粉の病とは似て非なるものだ
見ている景色の半分が死んでゆく秋
さよなら、さよなら

春にまた会えたなら
そのときもまた泣くのだろう
空洞の幸せをあたたかな空気で満たして
気球のようにふわふわしながら

それまでは
さよなら、だ
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