Queeeeeeen/salco
あった。
寒風吹きすさび日も暮れかかっては都大路で野宿というわけにも行か
ず、半泣きになりながら旅籠代の工面にまた駈けずり回らねばならなかっ
た。
翌朝は明け前に単身赴き、今度は通用門近くの叢で待ち伏せることにし
た。空が藍色になった頃、酒樽を満載した荷馬車がゴトゴトやって来たの
で、応分の金を御者につかませた。それで無駄口を利く仲だという蔵番に
つかませてもらって用件を通じさせ、蔵番から御膳寮の料理番見習いへ、
料理番見習いから配膳の端女へ、配膳端女から膳検(あらた)めの下役へ、膳検め下
役から側仕えの端女へ、側端女から侍女下役へ、侍女下役から御前毒見
へ、御
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