耳鳴り/
たもつ
酸性雨の結晶が
そこかしこに降り注ぎ
背負った荷をさらに重くする
だからいつしか私は
四足歩行を諦めてしまった
抑揚のない耳鳴りの中
規則正しく並ぶ高層建築物の群像
そのわずかな隙間に
羽だけになった甲虫が
数ミリの厚さでうずくまっている
突然のビル風に吹き上げられ
失った空を再び取り戻す
何と取引をすることもなく
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