おっぺけぺー/鵜飼千代子
額縁だった庭に景色が戻ってくる
寂しい程に整えられた装置は
演歌師が
おっぺけぺーを
捻る、
舞台であった
もうすぐ演歌師がいつでも住まう
庭になる
説明のいらない
「ああ、いらっしゃいますね」
という、
景色に
まもなく変わる
ナレーターの必要の無い風景
「おわかりになりませんか?」
で、
微笑むことの出来る景色
乗り越えたのだ
塀の中の、
自然に
花
乱れる
景色へ
*
肩車から見る、知らない世界に
またひとつ知ることに
驚きと尽きない好奇心を抱え
行くのだ
愛しいものを
鈴虫の雌が排卵の為に雄を喰
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