おっぺけぺー/鵜飼千代子
 
額縁だった庭に景色が戻ってくる
寂しい程に整えられた装置は
演歌師が
おっぺけぺーを 
捻る、
舞台であった

もうすぐ演歌師がいつでも住まう
庭になる

説明のいらない
「ああ、いらっしゃいますね」
という、
景色に

まもなく変わる

ナレーターの必要の無い風景
「おわかりになりませんか?」
で、
微笑むことの出来る景色

乗り越えたのだ
塀の中の、
自然に

乱れる

景色へ



肩車から見る、知らない世界に
またひとつ知ることに
驚きと尽きない好奇心を抱え
行くのだ

愛しいものを
鈴虫の雌が排卵の為に雄を喰
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