冬の匂い/葛西曹達
 
コーヒーのミルクが
溶け合っていくようすが
宇宙の神秘みたいで好き

何も変わらない朝も
時々 好きだったりする
生まれ変わってゆくだけが
進化ってわけじゃないんだね

ああ うん 冬の匂いだ
手はかじかむけれど
それはそれで悪くない

理屈やその他もろもろを
いくら重ねたって
感性で生きていたいんだ
だめだと叱ってほしい

浮かび上がる白さに
黒の世界は騒然
そして全て混ざりあって
甘いまま飲まれていくのだろう

吐く息は目に見えるカタチ
機械のいらない美しさに
魅了されて舞い戻る
この 巡り 巡る 季節
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