堀口美樹さん/天野茂典
 

  山際のゆうやけよ
  わたしのたましいは紅葉のように染まった
  染まってしまったのだった
  たった二ヶ月の実習期間だったのに
  きょうでお別れ
  せりあがる
  塔
  雲が▼▼▼▼▼蒼白に
  ゆうやけ空を刻んでいる
  あなたになにがみえたのか
  そうしてわたしにみえていたものは
  全てがみえるはずなのに
  実は何にもみえてはしないのだ
  (涙の
  塔よ
  わたしが流した歳月
  あなたが流した歳月
  ただ握手の温もりが
  遺跡のように残るだけなのだ


  飛んでごらんよ
  涙の淵を
  せりあがる
  塔の上から

  あなたが取戻したものはなに?
  そうしてわたしが失調したものはなに?

  いきなり溢れてきたものよ★★★★★★



           2004・10・22
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