売れないけれど/番田
けたら幸せなのにといつも願っている
*
そうだ 私はこれは出口なのだろうかと 少し 人より思うから 頭が悪いのだ
それとも脳みそだけが悪いのだろうかと 今日も一人でなんとなく物思いにふけっている
かつてに思い出される
子供の頃は 青いプールの中を 笑顔で泳ぎ回っていたものだった
低いボイラーの機械音が コンクリートの奥から響いていた
笑っていた 私は いつも 犬か何かのようだった
*
響き渡る 聞こえている 靴音のコンクリートで
帽子をかぶった 紫色の 私は
疲れた頭で すべて 音楽なのだと思うことが
そして許されていた 少しだけ
誰もが 何も制約されることなく 貧乏なんだとしても 金持ちになれると
現実離れした世界に いつも そんな私は憧れていたかった
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