おめでとう/桜 歩美
君へ
10歳のお誕生日おめでとう
君と歩んだこの10年
いろんな出来ごとがありました
いつも保育園の行事では
私は一人君を見るために参観し
余裕のない私に
満面の笑みで私を見る君に
涙が出そうになってばかり
1歳で保育園に通い
まったく泣かないので先生に驚かれ
2歳になって
毎朝泣くようになり先生に私から引き離されて
私の服は君のしがみついていた手のあとでしわくちゃ
そのしわくちゃの服で仕事場へ向かう私の心は
いつも貫く痛みがありました
毎年のように病弱な君は入院してしまい
仕事と君との狭間で苦悩する日々
ときに仕事を優先し
後で悔やんで号泣した夜
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