鳩のこと/はるな
鳩を飼っている家がある。近所だ。なんというのだろう、名前はわからないけれど、鳥小屋をもっともっと大きくした屋舎に、何十匹も。朝がたと夕暮れ、鳩たちは放たれて舞う。ほとんどの鳩の身体は真っ白なので、晴れてあざやかな日差しの日には、それは見事。きれいに夕暮れる日にも。雨の日には飛ばなかった。鳩たちを、ずい分まえからそうやって目にする。まだなにもしらない、脚だって苗のように未熟だった頃から。そのあいだに、なん匹の鳩が死んだろう。
むかし、よく賭けをしながら歩いた。たあいのないことだ。
信号が点滅するまえに渡りきれたら今日はいい日、目をつむってあの角に手をつけたらあしたすきなことをしてもいい、
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