ノート(青と灰 ?)/木立 悟
 


氷と光が交差する地に
人のものではない門がある
曇のような土がある
虹は滝のように降る



まだどこにもつながっていない
建てられたばかりの鉄塔が
空の輪の下
冷たい層を映している



鉄塔と鉄塔の間の歌が
石の川へとひろがり
岩の海へとそそがれ
青へと灰へと手わたされてゆく



門の向こうは黙っている
凍てついてゆく方位を見つめる
音の一粒
色の一粒を聴いている



青へと灰へと歌はとどく
青から灰へ 灰から青へ
歌はほどかれ
歌われてゆく



通るもののない道が
うすく塩になってゆく
小さな火が爆ぜては消え
青と灰と 歌の名を呼ぶ






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