山の向こう/番田
口で
鼻で 息で 声で
奇麗である 物なのだと
見ていたのだ 石ころを
船長はデッキで何となく目を閉じながら 眠っていた
黄金の浜辺が存在する場所があるのだ ということを
描いている 私の言葉として
微笑みの中を 流れる 彼方へと
たぶん そう
ひとりで 私はいつも本のページをめくっていたのだ
山々は ぼんやりと 窓の彼方にそびえていた
何も 想像の向こう側には存在することはないのだということを
溶液のような粘りとなった 私の涙はそこに留めさせられていたのだ
個体の縁に発酵させられた養分は 風呂釜を流れ出されていく
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