山の向こう/番田
影の中に風景を見つめて
私は 何となくそこで 目を閉じる
夢のイメージは そこには無いのだと
そこにある日だまりに座り込み
そこにある体の疲れで
目の中のそこで 眠る
目は眠る
風すら無いと
私も留まる
肥大化した 文明の中に潜む 様々な汚れが
訴えている 海面に乱反射している ヘドロの中で
何となく 船長は 岸壁でひとり立ちつくしている
そこに 青である 海面があることを
思いこんでいる 頭の中に描写して
色の泣きわめいている 海の
顔を見つめている
*
箱の中を私は見つめて描いている
宝石を底に見つけて一人で笑っている
目で 頬で 口で
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