山の向こう/番田 
 

影の中に風景を見つめて
私は 何となくそこで 目を閉じる
夢のイメージは そこには無いのだと
そこにある日だまりに座り込み
そこにある体の疲れで
目の中のそこで 眠る


目は眠る
風すら無いと
私も留まる
肥大化した 文明の中に潜む 様々な汚れが
訴えている 海面に乱反射している ヘドロの中で
何となく 船長は 岸壁でひとり立ちつくしている
そこに 青である 海面があることを
思いこんでいる 頭の中に描写して
色の泣きわめいている 海の
顔を見つめている



箱の中を私は見つめて描いている
宝石を底に見つけて一人で笑っている
目で 頬で 口で
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