ペインティング/林帯刀
 
震わせて 
ぎざぎざの窓枠を乗り越えて 
彼は芝生に立っていた 
斜め45度を見上げて 
荒い息継ぎに口は開けたまま 
その顔を照らすのは 
蛍光灯より痛くて 
ずっと有害で 
あとそれから 
それから 
ええと 
いつだって 
顔の皺を増やしたまま 
老人は来店する 
勘定の時に 
ぐい、と 
見せてくれた 
グローブのような手の 
先で 
古いペンだこが 
お控えなすって 
と挨拶した 
   あの色はな 
   思い出させるだけなんだと 
   俺ぁ思うね 
ペンキの缶を下げていくのは 
くた
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