比喩とミルフィーユ/
瀬崎 虎彦
青を背景にまっすぐな道路が
斜面を登っていくのだけれど
いずれ天に触れそうなところで
消えてしまうとわかる
長い橋を渡りながら
巨大な甲殻類の内側で
対になる脚を数えていても
韻律は揃いっこないんだ
薔薇とミルフィーユ
エデンなどさも知らぬげに
午後僕たちの愛した自由が丘で
朽ちる庭園の園丁に言ってやる
もう花の手入れはしなくてもいいと
もう花を見る人は誰もいないと
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