キャンパスから/天野茂典
 
ゃがんで 小川の中に生理をながす
  そうして椿の花が流れくだって海にでるのだ
  血の匂いには海がある
  空が明るみ
  大学校舎の輪郭も立体的になってきた
  朝には鱏がエーテルのなかを
  飛んでゆくのがみえる
  泳いでいるのか
  街の上を
  田舎の畦を
  バタフライで
  みごとな朝焼けだ
  蒸気機関車も眩しい
  線路も草も
  時刻表さえ朝焼けなのだ
  焼けているのは
  ぼくの魂
  焼けているのは
  日本人の魂
  列島を銃弾する鱏のように
  ぼくもパジャマをぬいで
  きょうもあなたに会いに行こう
  美貌の熱よ




     2004・10・22 
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