たぶん、悲劇的/瀬崎 虎彦
青空から遠い場所からあなたをみつめている
垂直に光が差すときには世界は希望に満ちる
そのわずかな時間だけ僕は人生を謳歌する
引き伸ばしても何にもならない人生かも知れない
覚悟が必要だ よりよい人生を歩むために
僕はそう声に出して自分に言い聞かせる
世界中のカラスの羽を集めたよりも黒く
湿っている世界で生きるための覚悟が必要だ
光が差すときには手紙を書いてみる
インクは足元のにごった泥水でいい
出すあてのない手紙なのであて先はない
壁に指を這わせながらいつまでも
ハルカに遠い青空を眺めている
夕方ごろ 鼓笛隊のパレードが聴こえた
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