十月の童話/salco
 
蛙孵る

フェニキアのある川のほとりに小さな村がありました
その村の外れの小さな森には小さな池があり
小さな蛙がわんさと棲んでおりました
ある春の日のこと
1個の卵からピンクのおたまじゃくしが孵ったので
一律に緑色の親蛙達はぶったまげ
こんなのを産みやがったのは誰なのかと詮議しました
が。
卵は数十センチの長さで絡み合っており
どれが誰のやら見当がつかず
そんなこんなで責任をなすり合っている内に
ピンクのおたまじゃくしにも後肢が生え前肢が生え
生殖器が生え羽根までも生え、毛が生え髭が生え爪が生え
それから角が生え牙も生え、生える物なら何でも生え
キャンピングナイフみ
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