ある冬の日、寒空/
林帯刀
それきり
糸は見つからず
描いたカーブの跡だけ
思い出せない
色
枝の先には硬い芽があった
春には芽吹くんだろう
おかしな色
もう茶色
2
枝の先から
つぃ と
放物線
駅前通りのポプラから
ビルをかすめ
遠く
シャンゼリゼ
静かにそっと
枝の先へ
様子を窺う
少し焦らして
小さく音が
頭上を覆う
放物線の群れ
高く接点
くるりと鳶
3
ここは鞠の中
幾重にも巻かれ
宇宙線さえぎる
穏やかな日々
綻びるまで
鞠の中
街は静か
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