ある冬の日、寒空/林帯刀
 





それきり
糸は見つからず
描いたカーブの跡だけ
思い出せない



枝の先には硬い芽があった
春には芽吹くんだろう
おかしな色


もう茶色







枝の先から
つぃ と
放物線

駅前通りのポプラから
ビルをかすめ
遠く
シャンゼリゼ

静かにそっと
枝の先へ

様子を窺う
少し焦らして

小さく音が


頭上を覆う
放物線の群れ


高く接点


くるりと鳶







ここは鞠の中

幾重にも巻かれ
宇宙線さえぎる

穏やかな日々



綻びるまで



鞠の中

街は静か




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