引力/ホロウ・シカエルボク
で最も曖昧な
領域に存在することが出来る
それを便宜的に名付ければ
亡霊という名になるかもしれない
月の光は
海に裂け目を作ろうと目論んでるように見える
深海に居たことがある
そう語って差し支えない
簡潔に言い例えるなら
それは深海だった
確実に
疑う余地もないくらいに
洞穴の中で
光を諦めると
目を開くことを忘れる
本当の暗闇には
見ることは必要ない
耳が尖る
鼻が尖る
皮膚がざわめく
見えるもの以外の
全てを捉えるために
レスキュー
俺を救助しないでくれ
ここで生きられるのなら
その方が都合がいい
冷たい地下水で
冷たい地下水で
切れてゆく身体を
知らずに生きる
息を止めたり
始めたりしながら
爪先が濡れたので
波打際を離れる
ふたつの靴を捨てようか
本当に歩いて帰るために
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